2020冬 東京ストリートカウントの結果(東京都発表との比較)
更新日:2020年9月15日
7月22日に発表された東京都福祉保健局による「令和2年冬期 路上生活者概数調査」の結果を受け、同時期に実施した「2020冬 東京ストリートカウント」の結果と都調査との比較を公表します。
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東京ストリートカウントで調査対象とした6区について、昼間実施の東京都概数調査値(290名)と、夜間実施の東京ストリートカウント調査値(618名)を比較をすると、その結果には約2.1倍の違いがありました。
この昼夜の比率をもとに計算すると、東京都全体では約1,540名が一晩に野宿状態にあると推計されます。東京都福祉保健局保護課の発表では889名とされていますので、行政調査では約650名の人々が見過ごされていると考えられます。詳しい推計方法は以下に示すとおりです。
また、今回調査した6区について、各区の調査結果を昼夜で比較すると下表のようになります。新宿区、渋谷区、文京区、千代田区では、行政調査と市民によるストリートカウントの結果に2倍以上の開きがありました。野宿人数の多い新宿区では、100名以上の人々が行政調査で見過ごされています。
これまで4年半・9期にわたり市民の力で実施している東京ストリートカウントは、東京都福祉保健局保護課による昼間調査値が実態を反映しておらず、多くの人々が政策上いないことにされてしまっていることを明らかにしてきました。都の保護課は経年変化を見るために調査方法を変えないという説明をしていますが、4年半にわたって市民の側から毎回2倍以上の人数がいることを示されていながら、実態に基づかない政策策定を行い続けている姿勢には、問題があると言わざるを得ません。まずは科学的・合理的な観点から、都のホームレス支援政策が、正確なエビデンスに基づき行われるべきであることを強く訴えたいと思います。
また、東京ストリートカウントは市民参加のアプローチにより、ホームレス問題のことを知り、考え、行動する「私たち」を創る活動でもあります。これまで9期にわたって1,021名(のべ1,910名)の市民が活動に参加し、一人ひとりが体と時間を捧げて、同じ東京に暮らすホームレス状態にある人たちの状況にじっくりと向き合ってきました。現在、コロナ禍の影響で従来の市民参加型カウントの実施が難しい状況にありますが、ARCHでは参加者の方々との対話を続けており、この夏も形を変えて工夫しながら、東京ストリートカウントを継続しようという声がたくさん上がっています。
次回の東京ストリートカウントは、市民一人ひとりがホームレス状態にある人々に心を寄せ、同時にそうした市民同士がつながるという活動の意味を大切にしながら、感染症リスクをふまえた分散型での実施を目指し、現在準備を進めております。
※2020冬・東京ストリートカウントの実施概要・集計結果はこちら
※9/3修正・追記:2020夏の東京ストリートカウントは「状況を見つつ8月中に参加の呼びかけを始めたいと考えています」とお伝えしておりましたが、今般の東京近郊における感染拡大状況と市民参加に伴うリスクとを熟慮し、実施を見送ることと致しました。詳しくはこちら