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​まちはいろんな人でできている 私のまちで東京ストリートカウント2025夏

活動報告

公開日:2025年11月14日

ARCHは2025年8月29日/30日の深夜、「まちはいろんな人でできている 私のまちで東京ストリートカウント2025夏」を実施しました。本企画は多くの市民が同じ夜に、それぞれの暮らすまちを歩いて、屋外で過ごす人を探す市民参加型の夜間路上調査です。今回は「わたしのまち」を歩き、ひっそりとそこにいる「いろんな人」の存在に気付き、考えることで、「わたしのまち」の知らなかった姿を探しにいくことを目的としています。報告会では、夏の夜のまちにいるいろんな人の存在を確かめにいき、それぞれの記録や感じた想いを参加者間で共有し、まちを見守るまなざしを共有しました。
蒸し暑い夏の終わりに行った今回の調査の実施概要、調査結果、参加者の感想についてご報告します。 

(参考:私のまちストリートカウントとは

 

目次

開催概要

当日の流れ

主な調査結果

 ・まちごとの結果

 ・全体としての結果

参加者の感想

今後に向けて

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◆開催概要

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1日目、2日目ともに、蒸し暑く汗ばむ夜となりました。一日目51名、二日目42名、合計93名の参加者がそれぞれ の「わたしのまち」を見守りました。
参加者みなで見守った「わたしのまち」は合計で53となりました。まちにいるいろんな人を探しに行き、「野宿している人」「今晩行き場がなくここにいると思われる人」「それ以外で心配な状態にある人」との出会いを記録しました。

 

当日の流れ

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当日は22:30からzoomで出発式を行い、他の参加者と共に注意事項を共有し、その日の夜一緒に歩く仲間の様子を確認しました。23:00以降に各自で調査を開始し、参加者はそれぞれの「わたしのまち」を1~2時間程度歩き、出会った人や置かれている荷物の記録を行いました。 帰宅後、見守った記録(歩いたルート、出会った人・記録したモノ、感想)を本部へ送信し、 他の参加者とお互いの感想をオンラインで共有しました。
 

主な調査結果

◆まちごとの結果 -それぞれの「私のまち」と、そこでの出会い

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参加者延べ93名で見守った「私のまち」は59ありました。見守った59の「私のまち」のうち半数以上の34のまちで何らかの心配な状態にある人との出会いがありました。出会いのあった私の街の割合を過去2回の開催から比較すると、前々回、前回が半数弱であったことから、少し増えたことが分かります。

◆全体としての結果

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※図をクリックすると拡大表示されます

上図及び表は調査結果をまとめたものです。
「私のまちで東京ストリートカウント2025夏」では合計で153名の心配な状態にある人との出会いがありました。その中で、「野宿している人」が66名、自転車のそばで大きな荷物を持っている人やベンチに座り込んでお話をする「確かではないが今晩行き場がなくここにいると思われる人」が62名確認されました。合計で128名の人々が、少なくともその晩 は屋外での不安な居住状態にあることが確認されました。 その他にも、夜中の歩道をお酒に酔った状態で歩いている人など、参加者が歩いている中で気になった「それ以外に心配な状態にある人」が25名確認されました。夏の夜は蒸し暑く過ごしにくい気温であるにもかかわらず、屋外で夜を過ごさざるを得ない人が多くいることが分かりました。

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◆参加者の感想 -「私のまち」を深夜歩き、見守り、感じたこと

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今回の私のまちストカンでは、59人の参加者が感想を共有してくださいました。その感想を項目ごとに分け、分析した結果、大きく7つに分類することができました。
今回は「まちはいろんな人でできている」というタイトルだったことから、野宿者の様子以外にも、自分のまちにいた人や自分のまちの様子についての感想が多くみられました。そこから続いて、自分のまちやそこにいる人への考察、自分のまちへの新たな気づきに繋がる感想も多くみられました。
また、両日とも猛暑の中のストカンだったことから厳しい夏の暑さについての感想や夏ならではの自然についても多くの感想がありました。加えて、普段とは違う視点で街を回ることができたという感想や夜のまちの怖さについての感想等、歩いているときの心情や野宿者の居場所の考察についての感想も見られました。
以下、感想の一部をご紹介します。

【出会った人の様子やその人達への考察】
●野宿者の様子
・今回出会った方は、暑い中、仕事着のような長袖シャツに長袖ズボン、革靴のような靴を履き、アスファルトの地面にそのまま寝ておられて、心配になりました。

【居場所への考察】
●滞在するのに適した場所
・一方で、今回出会った人々はいずれも公園内の薄暗い部分に滞在しており、利用者(自分)が安心する場所と滞在者が落ち着く場所の間に差があるような気がした。

【歩いているときの会話や心情】

●まちはいろんな人でできているという意識
・「まちはいろんな人でできている」ということを意識しながら歩きましたが、公園で休むHLのおじさん、バイクに乗った若者の集団や、ジョギングしている人、道路でスケボをしている若者、本当にいろんな方が私と同じまちで暮らしているんだということを改めて実感しました。

◆今後に向けて

ARCHは2021年から「私のまちで東京ストリートカウント」の実施を開始し、今回は5回目という節目の開催となりました。


今回、「まちはいろんな人でできている」というテーマを設定した背景には、現代において、ますます排外主義や個人主義が強まっている社会情勢に対する危機感がありました。自分とは違う人や交わらない世界にいる人との関わりがどんどんと薄れていき、その人達を敵対視してしまうような社会になってきているのではないかと感じています。分断が進む世界の中で、今回の私のまちストカンには、私のまちにいるいろんな人を探しに行き、自ら見て、考えて、思いを馳せてほしいという思いがありました。私のまちであったとしても、どんな人がいるか知らないことが増えている今、自らまちを歩き、知らない姿を見て、考えるという行為そのものが今の社会には重要なのだと思います。


このようなテーマは社会問題と絡んでいてとても壮大で、一見すると私が私のまちを歩くというささやかな行為となかなか結び付きにくく感じるかもしれません。
しかし、個人ひとりひとりが違う人を見て見ぬふりをして、個を強めてきた結果がこのような個人主義的な社会を生んでいるのです。個人によって社会は変わっていくからこそ、社会という大きなスケールであっても、社会を変えていくためには、個人の小さなスケールのアクションの積み重ねが大切なのです。そんな社会を変える小さな第一歩として、私のまちストカンは大きな意味を持つと、ARCHは考えています。だからこそ、参加者の皆様にはこれからもまちを見守るまなざしを持ち続けていってほしいと考えています。


私のまちストカンが社会にもたらす意義を考え続けていくと共に、今後ARCHが目指す、一人でも多くの人がまちを見守るまなざしを持つやさしい都市を実現するためにはどのような活動を行っていくことが必要なのか、活動の形やARCHの在り方についても考えて続けていきます。

「まちはいろんな人でできている 私のまちで東京ストリートカウント2025夏」

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