公開日:2022年6月23日
都内ホームレス支援団体アンケート調査(2021年8月実施)の報告書を発行
報告書『パンデミックとオリンピック、東京の空の下で-ホームレスの人たちを支えた人々の記録2020-2021』(PDF)
ARCHは2021年8月、新型コロナウイルス感染症流行下のホームレス支援活動の変化と、オリンピック期間のホームレスの人々をめぐる状況を把握するため、都内支援団体を対象としたアンケート調査を実施しました。調査にご協力いただいた支援団体の皆さまに、厚く御礼申し上げます。
このたび、調査結果をまとめた報告書が完成したので公開いたします。
目次
◆アンケート調査を実施した背景と目的
2021年夏、新型コロナウイルスデルタ株の感染急拡大に揺れる東京で、オリンピックが開催されました。緊急事態宣言発令下における異例の大会が押し進められる一方、同じ都市のなかには、失業や収入減で生活に困っている人たちや、住む場所もない人たちがいました。そして、その人たちを支えようとする支援活動がありました。
ARCHでは大会の影にあったこれらの状況について、ホームレス支援団体の視点から記録を残そうと考え、以下2点を目的としたアンケート調査を実施しました。
①約1年半のコロナ状況下における、都内ホームレス支援団体の活動状況や変化を把握すること
②オリンピック期間の路上の様子や変化、ホームレスの人々が受けた影響や声、支援団体の考え
について、この当時を表す貴重な記録として未来に残すこと
◆報告書の主な項目
●はじめに
調査の背景・目的・方法と、本書の構成を説明しています。
●第一部 コロナ禍初期~オリンピック期間の支援団体の活動変化
2020年春から2021年夏のオリンピック大会期間を対象に、8団体の支援活動の変化を活動種別ごとに整理し、考察を加えています。
●第二部 オリンピック期間(2021/7/23~8/8)のホームレスの人々をめぐる状況
2021年7月23日から8月8日のオリンピック期間を対象に、ホームレスの人々をめぐる状況について支援団体の証言をまとめています。また、オリンピックとホームレス問題に関する支援団体の見解もまとめています。
●回答全体のまとめ・考察
第一部、第二部それぞれについて、結果のまとめと考察を提示しています。
●おわりに
◆報告書のまとめを終えて
調査結果からは、感染症の流行により支援活動が受けた影響、1年以上続く臨時態勢での活動、そうした状況をよそに開催されたオリンピックとホームレスの人々をめぐる状況が、明らかになりました。また、オリンピックについては、開催都市に暮らす人々の生活への影響を含めた包括的な視点を欠いたまま、感染症という大きな禍(わざわい)の中で実施されたという考察を得ました。結果のサマリーは、報告書の21ページから23ページをご参照ください。
本書の発行にあたり、オリンピックからは1年近くが経ちましたが、感染症流行下の臨時態勢での支援活動は、今なお日々続いています。私たちは、支援団体に大きな負担がかかる一方で、市民が支援活動に参加する機会が減り、ホームレスの人たちとの交流が減っている現状を憂慮しています。
ARCHでは今年度、市民が集まれなくてもオンラインでつながり、それぞれの暮らすまちを歩いて、夜中に寄る辺なく地元の公園や駅にたどり着いた人たちに一緒に心を寄せる活動を行いたいと考えています(参考:私のまちストリートカウント)。引き続き、ご注目いただけますと幸いです。
◆ダウンロード
『パンデミックとオリンピック、東京の空の下で-ホームレスの人たちを支えた人々の記録2020-2021』
※報告書のサマリーについては、同書の21ページから23ページをご参照ください。
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