※以下の海外調査はARCH発足以前のものであり、現在ARCHメンバーの個人、またはARCHメンバーが所属している東京工業大学土肥研究室による調査の記録です。また、記載してある日本学術振興会による科学研究費助成に関しても、土肥研究室に対してのものです。一部を除き、土肥研究室ホームページ(http://www.soc.titech.ac.jp/~dohi/)の記録を転載しています。
2015.09. London, UK
○場所:ロンドン,英国
○参加者:東工大4名、シドニー大学1名、社会人1名
○活動内容:
ロンドンのホームレス、特にラフスリーパー(路上生活者)に対する政策やボランタリー団体の支援活動について調査を行った。国のホームレス担当機関、大ロンドン市、5つの基礎自治体、行政の住宅パートナーシップ組織、警察、移民局、4つのボランタリー団体の計14組織に協力いただきインタビュー調査を実施した。
また、基礎自治体の一つであるウェストミンスター市とその委託事業を受けるボランタリー団体らの協力を得て、ホステルやデイセンターの見学、アウトリーチやストリートカウント活動への参加という貴重な体験をさせていただいた。
ロンドンには五輪が実施された年である2012年にラフスリーピング(野宿)を終わらせるという非常に意欲的な目標がステークホルダー間で共有されていた過去があり、それに向けて当時どのようなエネルギー及び資本が投下されたのか、協働の経緯や課題は何であったか、また五輪後の現在まで続く社会的なレガシーにはどのようなものがあるか、大変参考になるお話を聞かせていただいた。
この成果は複数の学会論文にまとめるとともに、2020年に五輪を迎え入れる東京のホームレス対策をどうするか考え、実際に東京のステークホルダーと話し合いながら社会を変える活動に役立てて行きたいと考えている。調査にご協力いただいた方々に心から御礼を申し上げる。
また本調査は日本学術振興会科学研究費の助成を受けたプロジェクトの一環として行われた。
◆インタビュー調査および現場視察へご協力いただいた団体・行政機関: St Mungo's Broadway, Emmaus Lambeth, Homeless Link, Thames Reach, the Connection at St. Martins, THE PASSAGE, Hopkinson House (以上、ボランタリー団体等), Dept for Communities and Local Government(国のホームレス担当部局), Metropolitan Police, Greater London Authority(大ロンドン市), City of London, Westminster City Council, London borough of Southwark, Lambeth, Tower Hamlets(以上、基礎自治体), East London Housing Partnership(行政間パートナーシップ)
◆ロンドン調査に関する資料はこちらから

2014.09. Washington State, US
○場所:アメリカ合衆国、ワシントン州
○参加者:東工大4名、ワシントン大学1名
○活動内容:
アメリカ合衆国ワシントン州のホームレス政策と運用について、調査した。これまでHUDによる「ケアの継続 CoC: Continuum of Care」政策と現場での適用状況を、NY市やSF市で調査してきたが、今回は州単位での調査が目的である。WA州政府、4つのCoC(郡政府)、4つのNPOの方々、1つの連邦政府機関にヒアリング調査を実施できた。WA州には「Washington Homelessness Housing &Assistance Act」という州独自の法律があり、これを根拠に「Document Recording Fee」(不動産取引の際の手数料として一定額徴収)というHL対策費を捻出・キる仕組みがある。これらについては日本ではまったく知られておらずヒアリング調査を通じて多くのことを理解することができた。この成果は、2014年度修士論文として菅原君がまとめる。調査に快く協力してくれた、WA州商務省、King郡ホームレス問題解決委員会、Seattle市社会福祉省、Pierce郡コミュニティ連結省、Yakima郡社会福祉省、連邦政府機関USICHの米国北西部担当、NPOのPlymouth Housing Group、Compass Housing Alliance、REACH、Low Income Housing InstituteのUrban Rest Stop担当の方々には、本当に感謝している。また本調査は日本学術振興会科学研究費の助成を受けた。
