◆開催概要
二晩で102名(のべ113名)の市民が自身のまちを歩き、全部で86の「私のまち」を見守りました。参加者は深夜のまちに心配な状態にある人がいないか気を配り、「野宿している人」「今晩行き場がなくここにいると思われる人」「それ以外で心配な状態にある人」との出会いを記録しました。
◆当日の流れ
当日は22:30に参加者がZOOMに集合し、同じ晩に各地を歩く人たちと一緒に本部の説明を聞いて、出発式を行いました。式終了後、各参加者は自宅を出発し、地元駅周辺や近隣の公園など、自身で決めたルートを約2時間かけて歩きました。帰宅後は、まちを見守った記録(歩いたルート、出会った人・記録したモノ、感想)を本部へ送信し、他の参加者とお互いの感想をオンラインで見合いました。
主な調査結果
◆まちごとの結果 -それぞれの「私のまち」と、そこでの出会い
参加者が見守った86の「私のまち」のうち、約3分の2にあたる58のまちで、何らかの心配な状態の人との出会いがありました。このうち49のまちでは、参加者が「野宿している人」や「今晩行き場がなくここにいると思われる人」に出会っており、身近な生活圏のなかに、深夜屋外に身を寄せる居住の不安定な人がいることが確認されました。
◆全体としての結果
※図をクリックすると拡大表示されます
上図は、参加者が歩いたルートと出会った場所を、地図にプロットしたものです。
参加者が「私のまち」で出会った心配な状態にある人は392名で、海外は82名、日本は310名でした。「野宿している人」180名、「今晩行き場がなくここにいると思われる人」57名、合わせて240名近い人々が、ある晩に屋外で不安定な居住(広義のホームレス状態)にあることが確認されました。
「それ以外に心配な状態にある人」73名は、深夜出歩いている中高生や高齢の方、独りでスマホをいじり時間を潰す人などで、彼らの様子が参加者の心配する気持ちとともに記録されました。
◆参加者の感想 -「私のまち」を見守り、感じたこと
「私のまち」を見守った参加者は、日中とは異なる深夜のまちの様子や、自分のまちを見守るという新たな発見、近所でそうした方に出会ったときの衝撃や、心配し寄り添う気持ち等を感想として寄せてくれました(上図)。参加者間ではお互いの感想全文をオンラインで共有しました。
2020年春から始まったcovid-19のパンデミックを受けて、皆で新宿や渋谷に集まる大きな調査ができなくなりました。そこで考えたのが、ネット上で繋がりながら、自分のまちで行う「私のまちで東京ストリートカウント」(私のまちストカン)です。
2年間、私のまちストカンをやって気が付いたことがあります。それは、私のまちにいる心配な人を見つけて見守ることは、私のまち自体を見つめることであり、私とまちの関係を作り出す、ということです。
ARCHでは、心配な人に具体的にどのような人をサポートできるのかを検討し、専門的に対応できる相談先などをこれから整えていきます。
私のまちストカンを通して、人々が支え合うまち・社会が実現するように、そして東京のホームレスの人たちがどのような状況にあっても人間らしく尊厳を持って生きられるように頑張っていきます。