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公開日:2021年11月19日

ARCHは2021年8月6日/7日の深夜、「私のまちで東京ストリートカウント2021夏-本当に大切なものを探しに行く」(私のまちストカン)を実施しました。本企画は、2020年春以来、パンデミックのため実施できなくなった「東京ストリートカウント」が大きく形を変え、今夏新たに生まれた市民参加型の夜間路上ホームレス人口調査です。

私のまちストカンは、市民一人ひとりが同じ夜に、それぞれの暮らすまち、地元駅や公園を歩き、ホームレスの人、行き場のない人や孤立している人に出会い、その記録と感じたことをオンラインにより参加者間で共有するという方法で実施しました。

本企画の実施に至った背景、調査の実施概要、調査結果、参加者の感想についてご報告します。

 
 

◆「私のまちストカン」の実施に至った背景

ARCHでは2016年1月より市民参加型の夜間路上ホームレス人口調査「東京ストリートカウント」を実施してきました。しかし、2020年2月のストリートカウントを最後に、パンデミックにより大勢の市民が主要駅に集まる従来のストリートカウントができなくなりました。以降ARCHは、市民がホームレス問題に接する機会や想いを持つ市民同士がつながる機会を作る方法を模索してきました。また、大きな禍(わざわい)の中で忘れられているホームレスの人々と繋がる方法を考えてきました。

そして、一人ひとりが自分のまちでホームレスの人を心配し、集まれないけれど同じ思いの人々と繋がれる方法を考え、2021年夏に初めて、参加者の方々と一緒ににそれを形にすることができました。それが、今夏生まれた「私のまちストリートカウント」です。

 

◆実施概要 (調査当日の流れおよび参加者属性等についてはこちらから)

私のまちストカンは、参加者が自分の地元の駅や公園を歩いて調査するという方法をとり、首都圏を中心に、13都道府県から105名(延べ112名)が参加くださいました。他にも、参加者と一緒に歩いてくださった同伴者(参加登録なし)が33名おられました。

調査の実施概要は以下のとおりです。

 
調査概要.png

【表】調査の実施概要

◆調査結果 (より詳しい集計結果はこちらから)

★公開用調査結果マップ白地図_最終版.png
 

調査結果をまとめた図が上図となります。図中のラインは、参加者の方がそれぞれ自分の街(地元駅周辺や自宅周辺)を歩いたルートを示しています。また図中の●は、歩いている途中で野宿していた方に出会った場所*3を示しています。

「私のまちでストリートカウント2021夏」では、全国で294名*4の野宿の方と出会いました。このうち、東京23区内で野宿していた方は206名でした。また、荷物のみ置かれていた場所は25箇所確認されました。この結果から、主要駅周辺や大きな公園だけでなく、私たちが日常を過ごしている住宅街などにも、野宿状態にある人がかなりの人数いるということが分かりました。

*3 出会った場所のおおよその位置を示している。

*4 目視での確認が難しく、幅を持った調査結果については、最小値で集計を行った。

◆参加者の感想

参加者の方に、今夏の「私のまちストカン」に参加した感想をお聞きしました。

自分の住む街にも野宿している方がいることを知って驚いたという感想や、野宿している方が最近変化したという感想、自分のまちへの感想、私のまちストカンのプログラムに参加してみての感想等、下記に一部をご紹介します。

 

「自分の家の周りでホームレスの方を見かけたことがなかったのでこの短時間で3人にも出会ったことが意外だった。またホームレスの方が周りの目を気にして人目につかない場所を選んでしまうのは仕方がないが、ホームレスの方を発見した場所は総じて暗くて危険かつ虫が多く、そのような場所で生活しなくてはいけない人がいることに問題意識を感じた。」

「夏場で暑いせいか、ぐったりして寝ている人が多いように感じた。自分が住んでいる町にホームレスの人が、普通にいるということが衝撃的だった。実際に起きている問題だということを実感した。」

「新国立競技場にほど近いエリアでも、以前よりホームレスが多くみられた。なにより、年代としては若くなっているように感じたことに驚いた。」

「駅周辺は計画的に整備されていて、あらためて遊びも隙も無いし、様々なものを受け入れる器ではないように感じました。安くて旨い飲み屋がないのもそのせいかも知れません。ホームレスの方には出会いませんでしたが多分、居心地は悪いのではないかと思います。」

「普段から月1~2回、19時~22時ごろに地元のまちを自転車で見回りをしていますが、自分は徹夜する体力が無く、これまでのストリートカウントには参加できなかったため、今回が初参加でした。普段より遅い時間帯に歩いたことで、いつもはベンチに座っている時しか会えていなかった野宿の方が、横になっている場所を初めて確認できました。ARCH事務局の皆さんの説明やプラットフォームの作りこみがとても丁寧で、緊急時の待機もしていただき、初めてでも安心して参加できました。他の参加者のまわった地点や感想が共有できるのも嬉しく、たくさんの方々と同時に活動できたことは励みになりました。」

※上記の感想は本人からの掲載許可を得ています。また一部、個人情報に関わる文言や特定の場所に関わる文言は削除しています。

 

◆今後に向けて

「自分の街を歩く」という新しい方法で行った今夏の市民参加型ストリートカウントでは、一般住宅街での深夜の路上実態の一部が把握されました。また、「自分の街を歩く」という方法には、参加者が自分の生活圏内の野宿している方の存在を知る機会、そして、ホームレス問題に関心を持ち、自らのコミュニティの問題として捉える機会になるという点に大きな意義があると考えています。

深夜の自分の街を知ることは、身近な場所で起こっているホームレス問題に心を寄せ、人々による見守りや支えが育まれる契機となるかもしれません。また、パンデミックの中から生まれた新しいストリートカウントは、想いを持つ市民同士が再びつながる機会となりました。ARCHでは、この新しい取り組みをこれからも続けていきたいと思っています。