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『2016東京ストリートカウント公開報告会』を開催しました

2016.04.15

2016年4月10日(日)に【2016東京ストリートカウント公開報告会】を開催しました。

「2016東京ストリートカウント」は2016年1月12日~14日に渋谷・新宿・豊島の3区を対象として実施した夜間路上生活者人口調査です。本報告会では、その結果と分析・推計を発表するとともに、東京の現状や2020年東京五輪・パラ五輪の影響を踏まえ、ストリートカウントから見えてくること、及びARCHが行っていく今後のアクションを提示しました。質疑では会場の方々も交え、意見や理念の共有の場となりました。多くの方にご参加いただき、大変有意義な報告会となりました。

ARCHの今後のアクションとしては、より総合的で実効性のある支援システムの構築が進むよう夜間調査を継続して行っていくことや、社会的資源の定量的な分析に基づく政策提言を行っていくこと、更に今回のストリートカウントで改めて力を感じた市民の参加を広げていき、お互いに見守ったり助け合ったりする優しい都市を目指すことを示しました。

ご来場いただいたみなさま、そして東京ストリートカウントプロジェクトにご協力いただいたみなさまに感謝申し上げます。

 

以下に、当日の内容の一部をご紹介します。

 

■概要

「2016東京ストリートカウント公開報告会」

日時:2016年4月10日(日) 14:00-16:00

場所:東京工業大学大岡山キャンパス 蔵前会館ロイアルブルーホール

参加者:92名

■プログラム

 ・代表挨拶(北畠)

 ・協力研究室より(東京工業大学 土肥准教授、日本大学 後藤准教授)

 ・第1部:調査結果・分析と推計 (町田)

 ・第2部:2020東京五輪・パラ五輪に向けた課題と可能性 ~ストリートカウントから見えてくるもの~ (河西)

 ・質疑応答

 ・第3部:ARCHのこれからのアクション ~公共空間の在りかた・地域住民との関係~ (北畠)

 ・おわりに (河西)

 

 

■ハイライト(以下より各セクションにジャンプできます)

 

《第1部:調査結果・分析と推計》

プレゼンター:町田大(ARCH)

 

-調査の概要

-調査の結果

-単純集計の分析

-単純集計以外の分析

-推計

 

第1部では「2016東京ストリートカウント」の調査概要を説明した上で、調査結果及び結果を元にした分析と推計を発表しました。「2016東京ストリートカウント」では対象3区で671名の路上ホームレス状態にある方が確認され、前年同時期の東京都による路上生活者概数調査(昼間調査)の3.3倍という結果になりました。

調査結果の分析では、まずストリートカウント調査で記録した「場所分類」「野宿の状態」「性別」についての単純集計を示しました。「場所分類」については3区合計では「道路」「駅」「公園」「その他」の順で多いこと、各区ごとに見ると「道路」以外の場所分類では傾向に差があり、各区の空間的要素が影響していると考えられることなどを指摘しました。「野宿の状態」については移動型(※1)が3区ともに最も多く、小屋やテントなど目につきやすい形での路上ホームレス状態は比較的少ないことから、私たちが普段目にするホームレス問題の状況よりも深刻な状況であると考えられることを指摘しました。

(※1)「2016東京ストリートカウント」では、野宿の状態として常設の小屋やテントなどを「固定型」、常設でないダンボール小屋や寝袋など夜間のみ路上で寝ている状態にあると思われる状態を「移動型」、調査時に寝ていない人を「その他」とした。

その他、上記以外に「場所分類」「野宿の状態」のクロス集計から、「駅かつ移動型」が最も多く全体の約3割を占めることや、常設の小屋・テントが存在できる場所は「道路」「公園」などの公共空間に限られていること、などを指摘しました。また、東京都による概数調査(昼間調査)との「場所分類」比較では、昼間調査では「公園」以外の割合が半分以下である一方、夜間調査では「公園」以外が全体の8割以上を占めており、今回対象とした3区では「道路」や「駅」に夜間のみ見られる路上生活者が多いことが予想されます。

また2015年冬季の東京都による概数調査では23区全体での路上生活者が約1300人だったことから、今回の調査を踏まえると23区での路上生活者は約3000人に上ると推計しました。(※2)

 

(※2)推計方法を下図に示す。

23区に対して上述の比(3.3倍:対象3区におけるストリートカウント調査結果の対前年都概数調査結果比)を適用、昼夜間人口差が小さいと考えられる国管理河川に関しては前年同時期の都概数調査の結果をそのまま用い、両者を足し合わせた。ただし、今回対象とした3区はいずれもターミナル駅を有しており、昼夜間人口差が相対的に大きい区であると考えられる。こうした区の特徴などから、上述の比を他区にも同様に適用することの妥当性は検証する必要がある。

《第2部:2020東京五輪・パラ五輪に向けた課題と可能性 ~ストリートカウントから見えてくるもの~》

プレゼンター:河西奈緒(ARCH共同代表)

 

-なぜ五輪×ホームレスなのか

-1)路上生活者の実態把握について

-2)既存のホームレス計画・文書について

-3)社会資源全体の把握について

-4)市民・地域の可能性について

 

 

第2部では、2020東京五輪・パラ五輪を見据えたときに、ストリートカウントの実施によって見えてきた現状の課題や市民・地域の可能性について述べました。

 

 

「なぜ五輪×ホームレスなのか」では、五輪・パラ五輪のような大規模公共イベントによる不安定居住者や路上生活者に対するネガティブな影響が考えられること、同時に諸外国で五輪・パラ五輪を契機としてホームレス・セクターにポジティブなレガシーができたことを示し、東京が後者を目指すための第一歩として「2016東京ストリートカウント」を位置づけました。以下、ストリートカウントの実施によって見えてきた現状の課題と市民・地域の可能性について4つの指摘をしました。

 

1) 路上生活者の実態把握について

 

東京都による路上生活者概数調査の方法を示したうえで、以下の課題を挙げました。

 

  • 継続的な夜間の路上生活者人口調査が必要である

  • 現状では、概数調査時に各区が自治体区域内の路上生活者数を把握できていない。生活する人々にとって地続きである空間を地続きのものとして捉える視点が必要なのではないか

  • 概数調査を統計的数値をとるだけの調査に留めておくのは勿体無い。ホームレス支援の担当部署(福祉)が調査を担えば、路上にいる人一人ひとりの居場所や大まかな属性、健康状態などの得られた情報を支援や支援デザインに直結させることができる

2) 既存のホームレス計画・文書について

 

都や区のホームレス支援の計画や公的文書は昼間調査での路上生活者数をもとに立てられたものであり、今回の調査結果や推計を元にその前提を置き換えると、どのような方策をとるべきか再考の必要性が出てくるということを指摘しました。

 

  • 計画は実態を反映したものでなければならない。同時に、実効性のある計画を立てるには、まず実態把握の努力が必要となる

  • 実態を踏まえた上で長期的なビジョンを掲げることが求められる。きちんとした実態把握と長期ビジョンがあって初めて、どうやったらその目標に近づけるかの方策を考えられる

  • 誤った数値を出さないように最大限努力するということ

3) 社会資源全体の把握について

 

路上生活をする人々が地域での安定した居宅生活に至るまでに利用している・利用し得る様々な分野での社会資源を挙げた上で、それらの定量的な実態把握が必要である一方非常に難しい状況にあることを指摘しました。

 

ホームレスの人たちは流動的な存在であり、福祉、住宅、保健、医療、非営利セクター、ボランティアなど様々な分野の社会資源を利用しているまた、ネットカフェ等商業施設や刑務所など、本来セーフティネットとしてデザインされていないものも、現実には使われている

 

  • 社会資源全体を視野に入れた支援システムデザインが求められる

  • 資源の分量、人々の流れ、資金の流れ、空間的配置、プレイヤーを総合的に勘案する

  • これらの関係行政機関、非営利団体、事業者などが全体像を共有する 必要がある

4) 市民・地域の可能性について

 

2016東京ストリートカウントのもうひとつの結果として、ボランティア参加者について述べました。今回調査に参加いただいた111名のうち、徒歩グループが歩いた総距離は実に450km(東京-京都間の距離)にも上ったこと、ボランティア参加者へのアンケートでは「今まであまり気に留めていなかったが、ダンボール小屋を見かけると「あっ」と思うようになった」「統計の倍以上の人が路上で寝ていることに驚いた。真冬の夜にああして多くの方が寝ていることに胸が痛んだ」などの声が聞かれ、ホームレス問題を身近に感じたり路上生活者の過酷な生活状況への驚きをもつきっかけになったこと、を挙げました。

更に、ストリートカウント調査を対象地を拡大しながら継続的に行うことで、より身近な地域への参加が可能になり地域で見守ったり助け合ったりするための素地になる可能性を指摘しました。

 

  • 市民(そこで暮らしている人、働いている人、学んでいる人、よく遊びに来ている人 etc.)のエネルギーには大きな可能性がある

  • 一人一人の意識が変わっていき、それが広がっていくことで「見守り、助け合う社会」の素地ができていくことを目指す

  • ホームレス“問題”を通じて、地続きの、優しいつながりができていく

     

《質疑応答》

進行:町田、青山、応答:河西、北畠

 

質疑では参加者に事前に配布した用紙へ質問や意見を記入してもらい、いくつかの質問をピックアップして応答する形式をとりました。ストリートカウントに関しては調査方法や推計の方法についての質問、季節による違いについての意見などがありました。また、ホームレスの支援施策や実態に関する質問として、路上ホームレスの人々にとっての「支援」、女性が極端に少ない理由、都市空間のデザイン上の改善点、などが挙がり、応答者だけでなく会場も交えた意見交換の場となりました。

 

※当日お応えできなかった質問については今後何らかの形でお応えできるよう検討中です。

 

 
 

《第3部:ARCHのこれからのアクション~公共空間の在りかた・地域住民との関係~》

プレゼンター:北畠拓也(ARCH共同代表)

 

第3部では、これまでの流れを振り返りながら五輪・パラ五輪に向けてARCHがまず行っていくアクションとして、以下の4つを挙げました。

また、シドニー五輪・パラ五輪のレガシーである「公共空間にいるホームレスの人々のため議定書」に触れつつ、私たちの都市や地域において公共空間がどのように在ったらよいか、更に市民の参加を広げていくことで見守ったり助け合ったりするコミュニティをつくっていきたいというARCHの考えをお話ししました。ARCHはホームレス問題を介して都市に優しいつながりができていくことを目指します。

『2016東京ストリートカウント公開報告会』を開催します!

2016.03.16

■開催概要

 

2016年1月12日〜14日の3日間、のべ111名のボランティアの協力により渋谷・新宿・豊島の3区を対象とした夜間路上ホームレス人口調査「2016東京ストリートカウント」を実施しました。その結果、対象3区では東京都が実施する昼間調査の前年同時期比約3倍(671名)の人々が真冬の深夜にも関わらず野宿状態にあるということが確認されました。本報告会では、この調査結果の分析・推計の報告とともに、東京の現状(現在立てられている政策や社会的資源等)を踏まえ、ストリートカウントから見えてくることを指摘します。その上で、東京五輪・パラ五輪を見据えて、今後必要な取り組み、及びそのロードマップを一案として提示したいと考えています。

 

 

 

開催日時:2016年04月10日(日) 14:00~16:00 (13:40開場)
会場:  東京工業大学 大岡山キャンパス

     東工大蔵前会館1階 ロイアルブルーホール(右図参照)

     (〒152-0033 目黒区大岡山2丁目12-1)
参加費: 一般 1000円(当日受付にて支払い)/学生 無料

 

参加をご希望される方は、以下の申込フォームよりお申込みください。

 

アクセス:東急大井町線・目黒線 大岡山駅下車徒歩1分